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2009年3月 5日 (木)

サラ・ロイ講演会@京大人環

ざっくりと聞けたところだけ。聞き間違い、勘違い恩赦願う。個人的には講演後の質疑応答で、留学生らしき男性とあっという間に論争のようになったのが興味深かった。

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ガザ以前、ガザ以後。
ホロコーストサバイバーというよりもガザ研究の第一人者として語る。なので仮題は変更された。

1985年の夏。

オレンジを海に投げ捨てる老人にショックを受けた。彼はイスラエルへの輸出が禁止されたためと語った。
第二次インティファーダ以後。あるいはハマス政権樹立以後。
しかし、そのずいぶん以前から、すでに経済的困窮にさらされていたパレスチナ。
それはオスロ合意により完成された経済状況であり、閉鎖・分離・孤立の状態。例えば西岸地区の38%に入ることが出来ないパレスチナ人。

パラダイムシフトが起こっている。
オスロプロセス迄は和平と戦争は両立しないと考えられていた。現在は、戦争で利益を得ているイスラエル人が多くいる。すでに占領ではなく、小競り合いの戦争による商売?

制度化された分割。細分化。国家として成立すら許されないパレスチナ。非常に限られた土地での地域経済。ガスや電気供給停止をイスラエル最高裁が承認。そして、その全てを国際社会が追認している。

イスラエルの戦略はパレスチナを切り刻む戦略。政治的・経済的に何も出来ない。140万のうち110万人がWFPによる食糧援助を受け、貧困率は75%。安定した所得は全て外部からの援助。安定・安心を外部とイスラエルの政治性に左右される。

支配はすでに官僚化している。つまり戦時下の支配ではなく。例えば検問は機械化されているところもある。検問が日常。むしろ、西岸地区に行く為にビザが必要となるかもしれない。そういう方向で画策されている。

閉じ込められた人々が、その小さな土地で暮らして行くために用意されたマイクロファイナンス経済などの国際社会による援助がさらに閉じ込めを強化している。

援助国さえもイスラエルによる占領を許している。イスラエルは占領地域を広げ続けている。

12月のガザ攻撃とは、抵抗を辞めないガザのパレスチナ人たちへの攻撃。西岸地区との違い?

ハマスの指導者からの領土に関する譲歩案。1967年境界線に基づくパレスチナ国家の樹立という譲歩。ハマスだけでなくアラブ諸国も合意があった。得難いチャンスだった。しかし安定よりも領土拡大を望んだイスラエル、そしてアメリカ。

ハマスのロケット弾をやめさせたいという目的だけなら、経済封鎖を解くだけでよいのだ。そういう交渉に入るよう、国際社会、主にヨーロッパからの働き掛けは時間の問題だった。ガザ攻撃を阻止しようと、アラブ諸国を含め瀬戸際まで画策されていた。にもかかわらず突如攻撃がされた。

ハマスが明日消滅しても、イスラエルの攻撃は続けられるだろう。この攻撃はハマスへの制裁ではなく占領政策の一環なのだから。占領を辞めない限り抵抗は続く。

1400発vs14000発。ハマスvsイスラエル。イスラエルがガザから「撤退」してからの犠牲者数はより大きく。

何の産業も無くなったガザで、今活気があるのは、トンネル経済と呼ばれる密輸経済。エジプトへ向けて多くのトンネル(そのもの!)が掘られている。

ガザはどのように復興していけばいいのか。オスロ合意以後、パレスチナの自由はみるみる狭まってきた。

岡真理さん
低開発とは:低レベルの開発ではなく、開発にならない状態にまで、インフラが破壊された状態にあること。
パレスチナ問題とは占領、難民の帰還、国民国家の問題である。それが人権問題にすべてすり替えられているのではないか。ハマスは二国家を基本に交渉をしようとしていたところ、イスラエルが拒否をしたのだということを知ってほしい。

質疑応答
@ホロコーストを経験したユダヤ人が何故他者に対して同じことが出来るのか:一般的なユダヤ人は恐怖を抱えながら生きている。さらに自身を犠牲者・被害者と位置付けるほうが楽。ガザ地区で何が起きているか考えたくないのだと思う。

@何故アメリカはイスラエルをサポートするのか:中東における唯一の同盟国だから。

@ガザの現状を変えるには占領をやめさせることというがその具体的方策は?:国際法の枠組みの中で占領を解消させる。第一段階としてオスロ合意以後のガザの現状を知らしめる。150ケ国が1967年時点に戻ることに賛成。反対は3ケ国。アメリカ、イスラエル、ドミニカ。二ヵ国間での交渉とすることが前提。

@ユダヤ原理主義が占領解消の障害となっているのではないか。見過ごしてはいけないのでは?またイスラエル批判が全て反ユダヤ主義となってしまう現状。そうではないところで解決する方法は無いか:ユダヤ原理主義にあまりの重きを置いてはならない。それはマイノリティな問題だ。もちろん見過ごしてはいけないが、これは占領の問題。反ユダヤといって黙らされるということは、アメリカにおいてもネットの浸透で少なくなっている。例えばアメリカの人気報道番組「60ミニッツ」でイスラエルの占領に関する特集が、主流メディアで取り上げられた。

@それは楽観過ぎるのではないか。例えばノーマン・フィッケルシュタイン(『ホロコースト産業』という著作あり)はパレスチナとの連帯を訴えると大学の職を追われた:25年前、10年前なら物を投げられるような状態。それが徐々に変わってきている。全てが素晴らしくというわけではないが、コンクリートに割れ目は出来てきている。

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コメント

こんばんわ。サラ・ロイ氏の講演の記録ありがたく読ませていただきました。ガザの現状についての話が中心だったようですね。私の聞いた3/4ではホロコーストの意味が中心でしたが本当に貴重なお話だったと思います。
 質問ですが、留学生は外国人ですか?その人はシオニズムとそれに支配されたメディアによる無知なアメリカ人の為この問題はけして解決しないと発言し、サラ・ロイ氏がそうでもないと答えたのでしょうか?

zames makiさん、はじめまして。
ざっくりと、その場で打ち込んでいったものなので、抜けている&勘違いしているところが多いと思います。一連の講演をまとめたものを出してほしいという要望も多いみたいですので主催者も考えておられるかもしれません。期待しましょう。

で、ご質問についてですが、だいたいそんなカンジのやりとりだろうと思います。サラ・ロイ氏が語る今後の見込みについて楽観的過ぎると議論をふっかけてました。「ジャパニーズ」という単語もよく出てきてました(訳されはしませんでしたが)。占領について加害者と認識できないのは、ユダヤだけではないですね。

>占領について加害者と認識できない
推測するとその留学生は西欧の方でイスラエルとパレスチナには深~い因縁があるから解決は難しいと批判的に質問したのでしょうね。
 しかし質問者のその誤った見方はもっともだと思います。本日3/7の講演でもサラ・ロイ氏はイスラエルに批判的なユダヤ人は自分一人ではない、少数派だがアメリカにもイスラエルにもおり、積極的に行動している。その成果としてアメリカでパレスチナ問題について討論が可能になった、政府と異なる意見が存在する余地が今はあると、「わざわざ」述べていました。

アメリカではイスラエルに批判的な意見の存在さえ「ほとんど」許されない、というのが現状でしょう。そして日本でもアメリカの影響を受け、無関心と無知から類似の状態だと思います。かくゆう私もつい最近まで知りませんでした。

イスラエルの占領と虐殺をゆるすアメリカなど国際社会の恐ろしい不正義は、残念ながら至極当たり前の事として通用しており、日本政府もその中に入ると思います。また日本人は沈黙することで、またヨルダン川渓谷のODAでイスラエルの占領を支援することで不正義に加担している、というのは岡真理氏などの言っていることですね。

ですので、正義を行わせるためにはサラ・ロイ氏の分析と報告を元に自分達で議論し考える事だろう、というのがサラ・ロイ氏の締めくくりの言葉でした。その点で貴殿のブログはサラ・ロイ氏の講演会内容を伝えた非常に貴重なものだったと思います。是非もっと多くの方に読んで欲しいものです。

はじめまして。サラ・ロイさんについて調べていて、こちらの記事にたどり着きました。
講演録、参考になりました。ありがとうございます。

酒井さま
コメントいただき、ありがとうございます。

岡真理さんの講演会を企画されてるんですね。
盛会をお祈りします。

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