
サブリミナル効果の科学―無意識の世界では何が起こっているか / 学文社
先日読んだ下條氏の話が、心理学でどう考えられてきたのかというのがよくわかった本。
ちなみに、下條氏の「潜在脳」研究の紹介はこちら。
「脳の原理探究」のエネルギーは、ロボットや人工知能などを実際に造ろうとした時に喫緊の課題として出て来たものなんだろうとは思うのだけど。
そうだとしても、心理学的系譜は興味深いし、(下條氏の著作で既知だった知識だが)非常に分類整理されていて読みやすかった。
さて、日本で話題となったキッカケは「オウム真理教事件をあつかったTBSの報道番組」とのこと。あ〜そうだっけと記憶が甦る。だが、それより以前に登場した「睡眠学習」の方がワタシ的には忌ま忌ましい記憶f^_^;
全くのニセ科学だったのだろうと思ってたけど、いちおう学術研究によって確認され、一旦は強く主張された話だったみたい。
ただ、ほんとうに睡眠状態にあるかが厳密には確認されていなかった。その後、脳波測定によって確認する技術が開発され「目覚めているかまどろんでいるとき効果が高い」と学術的に実証(反証)された。
つまり先行研究に対して後続研究の知見が十分に紹介されていなかったことによる悲劇といえるのだそう(笑)。
まっどっちにしても、私は寝るんだけどね。お堅い学術書にしてはツカミはOK。
続いて、先行国アメリカの事例、サブリミナル刺激の7つの効果の紹介、閾値設定の難しさなどの説明があった後、広告研究、感情研究、社会心理学、臨床心理学の各分野に分けて、研究動向を具体的に紹介している。
全体的に繰り返し述べられているのは、これまでにサブリミナルの研究事例(つまりはデータ)が少ないことと、サブリミナル刺激は別の仮説(例えば、無意識的処理があるとすればどのようになされているのか)を検討するための「道具」として使用しているに過ぎないということだ。また、実験室での結果に過ぎないことも繰り返し強調されているし、刺激とその後の行動を媒介する過程の解明が進まなければ科学的・技術的な意味はないとも述べられている(ちょっと表現は違ったかもしれないが)。
やはり興味深かったのは、精神分析の祖・フロイトおじさんの、「精神疾患は無意識の葛藤が原因」という精神力動的仮説がサブリミナル刺激を活用して検討されてきたということ。今後、脳科学によって支持される結果となるのか。
また共生の幻想をサブリミナル呈示すると、精神疾患が和らぎ、非臨床的にも学習効果や訓練プログラムの効果が上がるという実験結果も興味深い。
さらに、サブリミナル広告を効果的に行うメディア研究の事例として、TVと比較して、より画面に集中するパソコン・ネットの技術的可能性が紹介されていた。絶対にもう技術は出来てると思うね。
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